泳動結果
A431 細胞を,EGF刺激した後の細胞内Erk1/2のリン酸化状態の変化を
Zn2+–Phos-tag SDS-PAGEで調べています。
Egf刺激後に,Erk1/2(42/44kDa)それぞれのErkから
3種類のリン酸化バンドが派生します。
どちらから派生したのか調べるために,2D解析をしたのが一番左の図です。
3種のリン酸化バンドはいずれもErk1とErk2がほぼ同じ移動度のため
重なっているものであることがわかりました。
Erk1/2の3種類のリン酸化種を抗リン酸化抗体で同定しました。
一番上は,pT202/Y204
上から2番目は,pY204
上から3番目は,pT202
でした。
1箇所リン酸化したものは,活性化の後Phosphataseの働きで
脱リン酸化していく過程の産物であると考えられます。
活性化型Erk1/2であるpT202/Y204は,数分後にピークに達し,
その後速やかに消失しますが,
pY204は120分後にも残っています。
活性化は数分のうちに行われる速やかな応答ですが,
その後時間をかけて元の状態に戻るのではないかと考えられます。
それは,細胞がむやみやたらに増殖刺激に応答しないための
負の制御機構のようなものではないかと推測しています。